日系戦略コンサルの雄、DIの1次面接体験記です!
コンサルティングファームでありながら、ベンチャー投資やインキュベーションにも積極的な会社として有名です。
- 一企業の戦略コンサルに閉じず、国・複数企業と連携しながら産業そのものを育成することに強み
- 有望ベンチャーへの投資・育成だけでなく、自ら出資して実事業経営にも取り組む
- 中国・シンガポールなどに現地法人を設立し、映像・音楽ほかエンタメビジネスなどの次世代事業創出、現地の産業育成も推進
といったように、かなり特徴的なカラーがあります。
ともすれば空想っぽいことを言いがちなコンサルですが、実業までコミットしている点は非常に好感を持てます。
といってもベースは戦略コンサルティングであり、選考はケース面接主体で進んでいきます。
ドリームインキュベータ│中途採用情報・選考フロー
書類選考→1次面接→2次面接→3次面接→4次面接→最終面接
DIに関しては、Webテストはなしです。
一方で、合計5人程度と長丁場の面接が待っています。
規模の大きくないファームほど、面接回数は増える傾向にある気がしますね。
日程次第かと思いますが、1回の面接で2人とやるパターンも多いようです(私は1次と2次はセットで行われました)
ケース面接の連発はかなりの集中力と思考体力が求められるため、そこに対する適応力も見てるのかなと思いました。
なお、最終面接は代表取締役が登場するので、最後に代表と会話できるというちょっとした楽しみが待っています。
ドリームインキュベータ│1次面接内容

お待たせしました。XXと申します、本日はよろしくお願いします。
私は前職シンクタンクで経験を積んだ後、DIに中途入社してます。
きゃりおさんも簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
爽やかで、優しそうな雰囲気の面接官がやってきました。



はい、本日はよろしくお願いいたします。きゃりおと申します。
(いつもの自己紹介をする)



ありがとうございます、異業種への転職ということになると思うのですが、戦略コンサルタントになりたいのはなぜでしょうか?



現職ではXXを理由に、顧客の潜在課題を解決することが難しい点に課題感を感じています。課題解決にあたっては、プロダクトアウトではなく顧客課題から構想を描くアプローチが必要だと思っており、その観点から戦略コンサルを志望しています



戦略コンサル中心に選考を進めてる状況でしょうか?



はい、おっしゃる通りです



差し支えなければ、選考状況についてお伺いしてもよろしいでしょうか?



はい、XXはすでに内定をいただいており、XXやXXの会社は選考中です



なるほど。そうすると仮に弊社の内定が出た場合に、どのように決めるイメージでしょうか?



はい、御社から内定をいただければ即決する予定です



それは非常に有難いことですが、即決する魅力がありますでしょうか?笑



はい、非常に魅力を感じております!
コンサルタントではなく、一ビジネスパーソンとしての力を付けていきたいという思いがあります。ビジネスプロデュースをコアバリューに掲げている御社であればその足腰を最も鍛えられるのではないか、と考えています



わかりました、ありがとうございます。
ではここからはケースをやっていきましょう。
お題ですが、映画館の年間売上を推定していただきたいと思います。で、その後売上向上施策を検討してください。
時間はトータル8分でお願いしたいと思います



承知しました、いくつか質問させてください。
映画館の売上の対象ですが、特定の1店舗でしょうか?あるいは、日本全体の映画館の合計でしょうか?



特定の一映画館で考えてください。いくつかスクリーンがあるかと思いますが、それらを含めて一映画館と捉えていただければと思います



承知しました。
映画館の売上としては、チケットや飲食・物販に加えて、上映前の広告などもあるかと思いますが、捉えておくべき前提はありますでしょうか?



前提は適宜決めたうえで、算出いただければと思います



ありがとうございます。最後にですが、売上拡大の目標感はありますでしょうか?数倍なのか、数十パーセントなのか、のイメージです。



映画館のモデルで数倍は厳しいかと思いますので、後者の数十パーセントのイメージでご検討いただければと思います



承知いたしました
ー 8分経過 ―



いかがでしょうか?
よろしければ、まずは映画館の売上の方からご回答お願いします



問題ございません、結論としては19億円となりました。
ショッピングモールの中にあるような映画館を想定し、6スクリーン/シアターある映画館の年間売上を推定しました。
映画館の売上構成要素として、チケット、フード&ドリンク、グッズを想定しました


- シアター数:こちらは前提でご説明した通り、6と置きました
- 客席数:シアタールームによってキャパシティの大小があると思います。大きいもので300席(縦20席×横15席)、小さいもので100席(縦10席×横10席)のイメージで、それぞれ半々くらいある前提で200席
- 満席率:平日は来訪者数が限られるため、平日30%・休日70%のイメージで50%としました
- 回転数:映画の上映は平均2h・清掃などのダウンタイムが1hで、3hで1回転。1日12時間の営業を想定して4回転としました
- 単価:チケット単価は1,500円(大人2,000円、学生1,500円、小人1,000円)、フード&ドリンク:500円、グッズ:200円(5人に1人が1,000円程度使う想定)で、2,200円としました



ありがとうございます。結局広告は見なかった、ということでしょうか?



失礼しました。
言及し忘れてましたが、広告はTOHOシネマズ等の映画館運営企業の売上になると思いますが、今回は一映画館が対象ということで広告収入は僅かと考え、スコープ外としました



わかりました。パラメータ別でのセグメンテーションはしなかった形でしょうか?



はい、平日/休日で分けることも考えたのですが、満席率のパラメータ程度しか差が出ないと考え、あまり意味がないと思いました



なるほど。平日・休日は感覚的にはそうだなーと思うのですが、もう少し精緻化できないでしょうか?別のカットは考えられますか?



そうですね。やはり作品の人気度合いに一番依存するところかと思います。
名探偵コナンのような人気作品であれば満席率も高いでしょうし、マイナーな作品であれば満席率10%以下のものもあると思います。
人気作品と不人気作品の満席率を加重平均するのが一案かと思います



そちらの方がいいですね。人気/不人気作品が影響するのは満席率のみでしょうか?



ありがとうございます。回転数にも影響するかと思います。不人気作品の場合は1日1-2回の上映のケースも多いと思います



わかりました。
では、続いて売上向上施策の方も回答お願いしてもよろしいでしょうか?



はい、結論としては、「老人ホーム向けバス送迎付き映画鑑賞サービス」を展開するのがよいと考えました。
①市場・競争環境を踏まえた戦略方向性、②ターゲット顧客とニーズ、③打つべき施策、の3つに分けてご説明します。
①市場・競争環境を踏まえた戦略方向性
映画館のマーケットは縮小方向かと思います。特にNetflixやAmazon Prime等に顧客を奪われ、若者世代を中心に映画館離れが一定進むと思います。
一方で、全くゼロになることはなく、大画面のスクリーンで非日常の体験を提供する価値は残り続けると思います。
最近だと、より映画作品の匂い・風・振動を感じられるなど、より没入感を高めるようなシアターも増えており、非日常感が価値となっています。
そうした中で、どのような成長戦略を掲げるかですが、市場縮小を見据えて業態転換を目指すのも一案ですが、数年で数十パーセントの成長目標を踏まえると、既存の映画事業のテコ入れを目指すのが現実的だと思いました。
特にフェルミで見た通り、平日の稼働率は明らかに穴であり、このドライバーをいかに改善すべきか?を考えていきました。
②ターゲット顧客とニーズ
ターゲット顧客の候補としては、平日に時間的余裕がある人という制約から、主婦、学生、シニア、観光客、あたりが考えられます。
客席を埋めるためのターゲット顧客のボリュームや、映画館への支払い余力・来店動機の有無等の要素を踏まえると、シニアがいいのではと思いました。
シニアそれぞれにマーケ施策を打つのはマーケ効率が落ちるため、シニアが多く在籍している老人ホームにアプローチすることで、効率的に空席を埋められるのではと考えました。
シニア/老人ホーム側のニーズとしては、体験としての充足感を満たしたいということの他、移動の安全性を担保したいということがありますので、そこを捕捉した打ち手が必要です。
③打つべき施策
そのため、老人ホームと映画館への送迎付きの映画鑑賞サービスを商品として売りこむ施策を考えました。
ショッピングモールでバスを保有していれば、それをアセットとして活用しながら展開していくことも可能だと思っています。
以上です



ありがとうございます。バスでシニアの団体を送迎し、映画館で映画をみてもらう、ということで合ってますでしょうか?



はい、おっしゃる通りです



映画鑑賞サービスで、どの程度のパイを取りこむ想定でしょうか?



老人ホームの規模にもよりますが、1回あたり20-30名といったイメージになるかと思います



そうすると、期待収益としてはどの程度見込めそうですかね?



単純計算ですが、1人あたり2,000円だとして1回5万円程度でしょうか。
いくつかの老人ホームに売り込み週2回程度そうした導線での誘客ができれば、1週あたり10万、年間50週で500万程度の貢献になります



なるほど。手数のわりには、それほど売上が立たない可能性はありますね。
もう少し上手いやりようはないでしょうか?



そうですね。
映画館側としては追加リソース・コストを負担する代わりの単価UPは欲しいところかと思います。
アップセルとして、上映後の作品解説トーク等もセットにすることが考えられるかと思いました。
単純に来てもらうだけでは訴求力も弱いですし、上映後の交流的なイベントがあればシニアの認知機能の維持にも貢献できそうなので、5万円ではなく10万円でも受け入れられる可能性があるかなと思いました。



えーそうすると・・年間1000万ということですよね。映画館売上が約20億ということだったので、1%にも満たないですね。
もう少しオーガニックに客数を稼げるような施策は考えにくいでしょうか?
「提示した施策が目標を達成しうるものなのかどうか?」という効果の観点をゴリゴリ問われました。
施策効果を検証する、といったことはあまりやったことがなかったですが、実際に検証してみると「箱物ビジネスで数億円引き上げるって、無理じゃね・・」と思い始めます(スタバを2-3店舗並べてやっと数億です)



シニア向けだと、パッと出てこないですが・・・



他でも大丈夫ですよ



ありがとうございます。
学生は流行の震源地であることもあり、ハマればスケールする可能性はあるかと思います。一方で財布の紐は固いので、とにかくお得感に訴求していくことが必要です。
ジャストアイディアですが、サブスクサービスを展開し、回数制限なく月額定額で映画を見れる、といったような方向性はある気がしました



平日であればいつでもどうぞ、ということですよね。まあ実際やってそうではありますね。ただそうすると、いつどの程度のお客が来るかは読みにくいという課題はあるかもしれませんね。
コストはどう考えますでしょうか?



映画館は固定費型のモデルなので、追加コストはそれほど大きくないと思いますが、いかがでしょうか?



そうなのですが、顧客側からすると平日いつでも見に行けるということになるので、時間帯によって急な需要増が考えられるかなと思いました。
例えばドリンク対応や清掃対応のリソースを常に余分に張る必要があるわけですよね。



確かにおっしゃる通りです。スタートは小さくやりながら、実績を蓄積し、需要を予測していく等はオペレーション面の課題としてあるかもしれません



現実的にはそうですね。それを乗り越えるかというのと、そもそもサブスクが受け入れられるかの受容性をまずは確認するイメージでしょうか



はい、そのように思います



わかりました。
では時間となりましたので、私の方からは以上とさせていただきたいと思います。次の面接官を呼びますので、このまま少しお待ちいただければと思います



承知しました、本日はありがとうございました!
ドリームインキュベータ│1次面接結果
1次面接の評価は分からないまま、2次面接に突入です。
感触的にはケースの根本課題を感じつつも、大枠の流れや打つべき課題はほぼ突っ込まれなかったということもあり、悪くはなかったのかな、という印象でした。
店舗系のケースは候補者の差分が出にくい類型かと思いますので、奇をてらわずオーソドックスに、とにかく具体を掘り下げながら失点をなくしていくゲームだと感じます。
施策がチープになりがちなので、そこを突っ込まれると結構厳しいなあと思いました。
以上、1次面接です。次回2次面接の模様をお送りします!