ケース対策を進めていると、多種多様なテーマに出くわし、自分の知識レベルによって大きくクオリティが変わるように感じられることと思います。
よく知っている業界については鋭い仮説を提示できる一方で、そうでない業界については表面的な議論に終始してしまう、そんな経験をされてる方、いないでしょうか?
まさに当時の自分がそうでした。
「パフォーマンスを安定させるためにはとにかく幅広い業界のトレンド・KSFをインプットしまくるしかない」と考えた自分は、半ばローラー作戦でありとあらゆる業界研究をやってました。
そこに優先順位の視点はなく、「何となく知らないな」、「このテーマが出てきたら嫌だな」と思うようなものから場当たり的に対策してました。
いま振り返るとよくそのセンスでやっていけてたな、と思います…
ただ、実際のところは、出題ケースにも傾向があるのではないか?
大きな偏りはなくとも、特に重点的に対策を打つべき領域があるのではないか?
そんな疑問を晴らすべく、直近の過去問100問をサンプリングし、業界をカテゴリ分けし、整理してみました。
ケース面接で出されるテーマの傾向
結果はこちらです。

幅はありますが、全体として言えることは、ケースのお題は殆ど誰もが目にするようなB2Cがメインだということです。
鉄鋼、素材、金属、医療機器、卸などのB2B領域のテーマが扱われることはほとんどなしです。
知識勝負とならないよう、普通に生きていれば目に触れる商品/サービスが出題されることが大半です。
よく就活/転職で無双した人が言ってる「日常的に身の回りにある商品/サービスにアンテナを張って、どのように売上や利益が改善されるかを考える」といった対策は有効であることがわかります。
私も一時期そのような姿勢でトレーニングしていこう!と心に決めたことがありましたが、頭の中ではロジックの深掘りが浅くなってしまい、うまくやれなかった覚えがあります…汗
以下、頻出テーマをいくつかピックアップしながら、ケース面接例と対策のポイントをまとめていきます。
飲食・食品
飲食・食品領域は最頻出です。
よく見るお題かと思います、まずは基本を押さえられているかが勝負です。
- スターバックスの売上を推定したうえで、売上向上施策を検討せよ
- ファーストフード店の売上を推定したうえで、売上向上施策を検討せよ
- ミネラルウォーターの市場規模を推定したうえで、売上向上施策を検討せよ
お題にもよりますが、おおよそ飲食店であればフラットに売上を因数分解し、平日の稼働率をどう埋めるか、その時間に来てくれる顧客はどんな人か?といったオーソドックスな展開になることが多いと思います。
夜のファーストフード店のようにプロダクト的にどうしても埋めようがない場合もあり、そうした場合は土日の行列解消などのボトルネックを潰しに行った方が良い展開になることもあります。
比較的簡単なケースと捉えられがちですが、聞き手に回ると候補者の差は思考の幅・深さの観点から如実に見えるため、定番ケースとして出題されてます。
表面的な議論に陥ることを避け、各社の戦略や集客施策、新規出店戦略などを事例ベースでインプットし、ファクトをベースにしながら現実的な施策を提示できるかがポイントです。
観光・インバウンド系
こちらは一昔前に比べると、各社で出題が増えている印象です。
いまや観光産業は日本経済の今後をうらなう重要アジェンダとなっているため、色んなアングルでの問いが飛んできます。
- 北米からの観光客を増やすための施策を検討せよ
- 地方における観光客を増やすための施策を検討せよ
- 沖縄におけるインバウンド経済効果はどの程度か
観光客拡大系ケースのポイントとして、日本/地域全体への経済効果だけでなく、産業としての持続可能性にも配慮した展開が評価される傾向にあります。
特に、オーバーツーリズム(地域住民への生活への影響)、宿泊/交通インフラのキャパ、観光従事者の人手不足等にどう対応していくか?といった観点まで議論が及ぶと評価が高まるように思います。
国土交通省/観光庁がインバウンド拡大に向けた戦略・アクションプランを公開しているため、一読しておくことをオススメします。
自動車・モビリティ
2010sはモバイル・2020sはモビリティの時代と言われたりしてましたが、足もと特にモビリティ関連のケースは増えてます。
業界内の競争に留まらず、サステナ/デジタル/地政学リスクへの対応などマクロレベルで捉えるべき論点は多く、難易度も高い印象です。
特にマッキンゼーやBCGで、EVにまつわるお題は頻出です。
- EVの国内市場規模を算出した上で、とある自動車メーカーのEV拡販施策を検討せよ
- EV時代における生き残りに向けて、自動車部品メーカーが検討すべき論点を網羅的かつ構造的に挙げよ
- カーシェア市場規模予測と、とある自動車メーカーの参入是非を述べよ
シンプルな売上向上施策に留まらないため、ケースの類型別に論点は予め押さえておくことが必要です。
また、業界トレンドや主要プレイヤーの成長戦略をインプットしておくことも有益だと思います。
スポーツ・フィットネス
お題はこんなイメージです。
- フィットネスジムの年間売上を推定した上で、売上向上施策を検討せよ
- とあるスポーツの競技人口を20-30%改善するための施策を検討せよ
特にフィットネスジムは頻出です。
趣味は何ですか?と問われて「ジムに行くことです!」と答える志望者が多いことに加えて、コンサル面接官の多くもジムユーザーが多いことが背景にある気がしてます。
一口にフィットネスジムといっても、24時間型やパーソナル型、徹底したローコスト型など事業モデルは様々です。
業界動向と各社の戦い方を踏まえて、類型別の勝ちパターンをざっと押さえておくとよいと思います。
抽象・公共系
こちらは業界テーマとしては整理しにくかったため、別でくくり出しました。
約10%が抽象・公共系のため、コンサル選考に挑まれる方は一度は出題されることになるかなと思います。
売上向上系より個性が出て面白い議論になることが多く、足もと出題頻度が上がっているように感じます。
お題は、こんなイメージです。
- 地方の過疎化を解決する方法を検討せよ
- AIの普及によって打撃を受ける産業はどこだと考えられるか
- プラットフォームビジネスの成立要件は何か
初見だとヒヨりそうですね…
具体と抽象を行き来しながら、つぶつぶの要素を構造化し、ボトルネックをえぐり出す力が求められます。
書籍を読むことも有益ですが、実際のところどういう形で捌けばいいかのイメージを持つことが難しいため、1-2回デキる人からレクチャーを仰ぐことをオススメします。
前提知識として、社会/政策動向についても日ごろからニュースや新聞などからインプットする習慣をつけておくとよいと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
自分は盲目的に知らない業界動向や各社の戦い方をインプットしていたため、それ自体は勉強になり非常に面白かったものの、転職活動という面ではかなり非効率でした。
「全く知らん、オワタ」となるようなお題はほぼ出ないため、身の回りの商品/サービスやニュースで報じられているような業界にフォーカスして、ケース対策を進めていくことが内定への近道だと思います。
本記事がコンサル就活/転職にチャレンジする方の参考になれば嬉しいです。
自分が実施したケース対策の内容については、こちらの記事で詳述しているため、ぜひチェックしてみてください!
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